ツール・ド・つくば 2009 レースレポート1

勝手に踊りだしそうになる心臓を宥めながらスタートラインに並ぶ。もちろん最前列だ。
第一回開催ということもあり、参加人数は絞られているため最前列を確保するためにそれほど苦労することもなかった。周りに並んでいる選手も最前列に並ぶことにそれほどこだわりはなさそうだ。でもあの不動の狭い道を駆け上る事を思えばできるだけ前に出ておきたい。
もうすぐスタートだ。ハンドルバーに伏せて緊張と戦っているとコースの端から声がかけられた。
「furu8maさーん、がんばれー!」
別クラスで出走するアルカンシェルジャージがまぶしいNARUさんだ。ふっと緊張がほぐれる。本当にありがたい。
右手をぶんとあげて
「がんばりまーす!」
と答える。
そうだ、頑張るしかない。もうここまで来たんだから。スタートの号砲が鳴れば、あとはひたすら苦しい30数分を潜り抜けるだけだ。


「パン!」


思ったより軽い響きの号砲が鳴り響き、先導のバイクに従ってゆっくりスタートする。
既にタイム計測開始しているはずなのに、こんなにゆっくりのペースで良いのかと若干焦るもののきっと条件はみな同じと考え直す。
しばらく行くとバイクのスピードがあがる。僕もレースモードへとギアとケイデンスを切り替える。
一気に40km/h超まで加速すると、自転車の速度を甘くみているのか先導のバイクに追いつきそうになる。一瞬ドラフティングしてやれと悪魔の囁きが聞こえるが、あまりにアンフェアなのでちょっとだけ足をゆるめる。その間にバイクはがつんと加速していった。
いよいよ不動、毎度お馴染み地獄の入り口。いつもは看板からゼロスピードスタートだが、今回はバイクに先導され40km/h超で一気に突っ込む。
とりあえずガシガシ登るが、序盤は足を使わないように抑えて登るのが不動のセオリーだ。迷ったけれど少しだけペースダウンし休息的ダンシングで序盤の急坂をこなす。それでも自分的には若干オーバーペース気味だ。このまま持つのか不安になるが、続く平坦に近い路面を25km/hくらいで走れたのでどうやら大丈夫そうだと気を取り直す。自分のペースを常に客観的に測れるのがホームコースのいいところだ。アウェイな選手からはこれだけれも大きなアドバンテージになっていると思う。

気が付くとどうも私一人だけがぽつんと先行する形になっていた。
ある程度集団になりながら先頭交代して走る図を想像していたのでこれは予想外だった。
とはいえ今からスピードを落としてもいいことはないのでそのまま駆け続けることにした。そもそも僕がエントリーしているクラスは3グループに分かれてそれぞれ別々のタイミングでスタートしている。このグループで先頭であったとしても、他のグループに勝っているかはわからないのだ。走り続けるしかない。

幸いにして、僕の前を走る先導のバイクがいいペーサーになってくれている。僕がスピードに乗れば近づき、ヘタレれば離れる。バイクに先導してもらって走るなんて、なんかものすごい大会を走っているみたいで感激だ。またカーブ事に歩哨が立っていて応援してくれる。それがおそらく近場の女子大学生(想像)だったりするので、いやでも気合が入るというものだ。ただ、こちらはヨダレをたらしかねない勢いで顔を歪めて走っているので向こうはヒイているかもしれない。


不動中盤頃から前グループの選手たちの背中がちらほら見え始める。その背中ひとつひとつを目標に追いつけ追い越せを繰り返しながら山道を登る。
レースでテンションがあがっているといっても、つらいものはつらい。ヨダレもたれる。中盤は20km/h以上を保つことが目標だが、だんだん17km/hくらいまで落ちる。これじゃせっかくのレースなのに練習と変わらない・・・若干焦りつつもひたすらペダルを漕いだ。


しばらく行くといよいよ10%勾配、不動名物ラストスパートの看板が見える。不動を超えスカイラインに入ってしまえばしばらく平坦で呼吸を回復できるので、ここは思い切り踏むしかない。思い切り・・といっても端から見ればえっちらおっちらな速度でどうにか不動の頂上に向けて坂をにじり登る。実にありがたいことに路肩で応援してくれる人達がいて、いつものようにヘタレた姿を見せることはできない。表面だけはどうにかとりつくろいながら不動峠の頂上に達すると、峠の入り口でスタートした時計をちらりと見る。


11分35秒


おお、新記録だ。ついに12分の壁を越えたんだ。自転車に乗り続けてからずっと挑み続けて、でもずっと達成できなかった目標を、今日この日、ツールドつくばの最中に達成できた。レース半ばだというのにものすごい満足感に包まれる。ここでリタイアしてしまったとしても僕は満足だ。


とはいってもレースは続く。僕もペダルを回し続ける。しばらく急坂を登ると路面が平坦に変わる。スカイラインだ。
ここからは平坦と登り下りが繰り返す。ようやくここへ来て装備してきた(というかこれしかない)ノーマルクランクとディープリムが意味を持つわけだ。

フロントをアウターに入れ、スカイラインを一気に加速しながら走り出す。ここで手を抜けば登りでかせいだアドバンテージなど一気に吹っ飛ぶ。
平坦だから、下りだからと言って休むわけにはいかないのだ。
僕の加速から一拍遅れて加速しだした先導のバイクを追って、最初の下りへとペダルを踏んで行った。


スカイライン 〜 ゴール編」へ続く。




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本日の自転車:104km(ツールドつくば含む)
6月の累計:821km
2009年の累計:8,570km