ただマイヨジョーヌのためでなく


私がKLEINと出合ったショップは、TREKのコンセプトストアです。自宅から徒歩1分の距離にあのTREKのショップがあるというのですから、我ながらかなり恵まれていると思います。が、当時はTREKというメーカーすら知らない状態で、なぜ雑誌で有名なCOLNAGOや、PINARELLOの自転車が置いてないんだろうと疑問に思ったものでした。そういうヨーロピアンなバイクがほしいというと、ちょっと困ったような顔をしながら、スタッフの方が対応されていたのを思い出します。

ちなみにこの店のレジカウンターの前には常に
LIVESTRONG
と刻まれたイエローバンドが置かれていました。私はその意味も当然ながらまったく知らず、当時流行っていたホワイトバンドの自転車版?くらいのイメージしかありませんでした。

散々雑誌やネットの情報を読み漁り、多少知識が増えてくると自転車界には、TREKのバイクを駆ってツールドフランスで7連覇を達成した英雄がいることがわかってきました。
ランス・アームストロングです。
残念ながら私が自転車に乗り始めた頃には既に引退していましたが、聞くところによれば、彼はガンを患い、克服し、そしてツールで優勝したらしいのです。
ツールといえば、こんな素人丸出しの私ですら知っている、プロ中のプロ中のほんの一握りのプロだけが参加できる夢の舞台です。それで優勝してしまう・・・?それも7度も?まあ素人代表の私から言わせればありえません。

同時にイエローバンドの意味も知りました。熱いです。私もその輪に加わりたくなりました。

が、その前に表面的なイメージだけでなく、彼の考え、思っている事を知ったほうが良い。でないと、結局これはただのファッションになってしまう。そんなわけで、この本を手にとることにしてみました。

ただマイヨ・ジョーヌのためでなく

内容については多くは触れません。昔から読書感想文は苦手です。ただ、自転車競技の過酷さの一端をこの本で初めて知りました。華やかに見えるけれど、決して楽に走っている訳ではない。楽に走って勝てる訳がない。あらゆる苦痛を否定しながらクランクを回していくのがプロ。速いのはプロなら当然。その中で誰よりも苦痛をねじ伏せ、過酷な自分との戦いに勝利したものが一番先にフィニッシュラインを超える。そういうものらしいです。
「僕は苦痛に強い」
という一文がありました。この短い文にどれほどのタフネスが詰め込まれているのか。ホビーライダーな自分にはちょっと想像しがたい苦痛。ただ、そのプロ中のプロをしてももっと苦痛と言わしめるのが癌との闘いらしいです。
しかもこの闘いにプロなんていません。老若男女問わず強制参加させられる過酷なレース。
リタイアはすなわち、死。
幸いにして私は今健康ですが、いつそのレースに招かれるかは分からない。こればかりは神のみぞ知る、です。
もし万が一、その日が来たときに、それが例え他の病気であっても、戦い抜くためのひとつの方法がこの本には記されています。


こんな読書ができるなら、たまの雨もいいですね。



■6月の累計:620km


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