2009ツインリンクもてぎ100kmサイクルマラソン結果!

行ってまいりました、2009年もてぎ100kmサイクルマラソン
結果から言いますと、男子C(35才〜40才)クラスで、5位に入賞する事ができました。

しーちゃん(娘)、おとーさんは頑張ったよ!

というわけで、レースを振り返ってみたいと思います。




  • スタート


2009年1月4日 午前8時5分。僕は2回目となるもてぎのスタートラインに並んだ。去年の教訓を生かし、早めに並んだ結果ほぼ最前列を確保することができた。先頭集団に付いていこうと思ったら、前に居ないと話にならない。天気は快晴。風はほぼ無し。気温こそ低いものの、開催時期を考えればほぼベストコンディションといえる。
確か競技開始は8時20分なので、スタートはまだ少し先だ。その間競技説明や、招待選手の紹介が行われる。普通に考えれば身動きできないこの時間は、せっかくアップで温めた体が冷える大敵なのだが、僕の場合、高まりつつある緊張でむしろ心拍はスタートが近づくにつれ徐々に上がっていた。レース慣れしていない事が功を奏したと言えるのかもしれない。
今回の目標はただ一つ。最後まで先頭集団についていくことだ。大丈夫。きっとできる。この時は分不相応にもそう思っていた。

やがてスタートまで1分を切り、電光掲示板上で秒読みが始まる。10秒前になると、バチン、バチンとクリートを嵌める音がさざ波のようにこだまし、緊張をさらに高める。

3…2…1…スタート!

一週目はローリングスタートで、低速で走るわけだけど、これはこれで気を抜けない。なにしろみんな少しでも前に行きたいと考えているし、コースは人波で埋めつくされている。実際ほぼ最前列でスタートしたはずが、あっというまに先頭から10列目くらいまで落ちてしまった。隣の人と肩も触れ合わんばかりの距離の中、カーブや下りを駆けるのは本当に気を使う。他の人のラインを塞がないように、でも隙あらば少しでも前に。一週目の上りを過ぎたあたりで、僕の少し後ろでガシャンと音がした。早速落車のようだ。前に居て良かった、と思うとともに気を引き締めねばとも思う。
緊張の数分が過ぎ、先ほどくぐった電光掲示板が見えてきた。ようやく一周目目が終わるのだ。いよいよここからだ。スタートラインを超えると、一気に速度が上がる。メーターの読みでは45km/hくらいだろうか。道幅いっぱいに広がっていた車列が、紡錘状に変化する。さすがに集団の中に居ても厳しい速度だけど、ついていけない程ではない。よし頑張るぞ、と空気抵抗を減らすために雑誌で読んだエアロポジションを思い浮かべながらぐっと頭を下げ前を睨んだ。

  • 中盤(40km - 70km)

僕はまだ先頭集団に残っていた。が、はっきり言って奇跡に近い。心拍は常に170あたりを行ったり来たりしている。正確に測ったことはないけれど、過去の経験から言えば僕の最大心拍は195あたり。ということは、僕のエンジンは常に90%程度の全力運転を続けていることになる。
時速40km/hのトレインも牽かなければ乗り続けられるだろうと考えていたが、甘かった。練習で40km/h台のトレインを維持するのはせいぜい5km。長くても10km程度か。既にその5倍近い距離を走り、刻一刻と終わりの時が近付いているのがわかる。まだ半分程度しか走っていないというのに、だ。
もう上りでは抜かされる一方だ。だけど幸いな事にコース終盤にある下りでほんの少しだけ休むことができる。速度域が違うライダーがたくさん走っているため、下り終わりに待ち構える90度カーブで思い通りのラインをとれることはまれだ。だから速度を落とし安全に抜けるためのマージンを確保する必要があるのだ。僕はここでどうにかまた集団後方から中頃に復帰を繰り返していた。
集団から切れたらもう復帰は絶望的だ。もう最後まで持たないことはわかりきっていたけれど、少しでもその時を先延ばしにしようと悪あがきを続けた。たぶん70kmくらい走ったあたりだと思う。突然右足の太ももの前側が攣った
ここまでか…とも思った。だけどペダルを踏むとどうやら回せる。まだ本格的には攣っていないということなのだろうか。正直足を攣りながら走った経験がないのでわからない。だけどまだいける。まだいけるならやるしかない。その状態でコースの上りに差し掛かると、今度は左側の太ももの前側も攣った。それならダンシングだ。と立ち上がろうとしたら、今度は両足のふくらはぎが一気に攣った。たまらずすとんとサドルの上に腰を下ろす。落としても痙攣はすぐにひかないのでかなりギクシャクとしたペダリングになってしまう。でもこんな状態にも関わらず、まだ回せる。なんなんだ僕の体は。案外僕は頑丈らしい。どうせなら攣らないでほしいけれど、攣っても回せるならば、もう足が壊れるまで回してやろうと思った。幸いまだ先頭集団の端にギリギリ引っかかっている。
そんな状態でなんとか1周走りきり、再度上りに差し掛かった時にとうとう終わりがやってきた。太ももの前側、ふくらはぎときて、ついに太ももの裏側、たぶんハムストリングというやつが攣った。もうここまで来ると、足で攣っていない筋肉はないんじゃないかという感じだ。表裏、足の付け根から踝まで、足全体が僕の意識に関係なくビキビキと好き勝手に張っている。痛いなんてもんじゃない。それでもペダルは回せる。というか無理やり回した。

だけどやはり現実は厳しく、ついに先頭集団の最後尾が、僕をおいていこうとする。追いかけたかった。一度離れたら、もう復帰は不可能だ。50cm…1m…徐々に、でも確実に遠ざかる。ほんの少し先に先頭集団の最後の後輪があるのに、追いつけない。あまりに遠い。1mが何kmも絶望的に離れているように感じた。そして僕は残り5,6周程度(正確には覚えていない)を残して、先頭集団を脱落してしまった

  • 終盤、そしてゴール

30km程度を残して切れた以上、もうラップされるのは避けられない。それほど先頭集団は圧倒的だと感じた。
今の速度はだいたい35,6km/hくらい。上りはもう25km/hくらい。これでもそれなりにスピードは出ているはずだけど、さっきまで圧倒的な集団の中にいたせいか、かなりゆっくりに感じる。実際足の攣りも収まった。
正直、切れた時は足は攣りまくりで心も折れかけ、もうリタイアしてしまおうかとも思っていた。しかし攣りさえ収まってしまえばまた欲が出る。
もう当初の目標は達成できなくなってしまったが、できる限りラップされる回数を少なくしよう。そう考え直して走ることにした。去年の教訓を生かし、個人で駆け続けることはしない。少しスピードを落としながら、速度が合うトレインがやってくるのを待つ。それは10以上連結した巨大な車両だったり、単車両だったりしたけれど、とにかく乗り継ぎまくった。本当は一つのトレインに乗り続けたかったけれど、上りに差し掛かると、なぜか列車がバラけてしまうので、そこは自力で登りつつ、またスタートラインの直線にかけて別の車両を探さざるを得ないのだ。今回は前はほとんど牽かなかった。たぶんトータルで前を牽いていた時間は10分もないと思う。かなりチキンな作戦だ。かっこ悪い。だけどなりふり構わないで行こうと思った。これはレース。年に一度しか出られない。牽かないのも作戦だ。そう言い聞かせる。
残り3周くらいになった頃、ついに先頭集団にラップされた。みたところ5,6人。人数が少ないところを見ると先頭集団からさらに逃げたのだろうか。あわよくば食いつこうと思ったが、全然駄目だ。あまりに速度が違いすぎる。指を咥えながら見送ると、今度は本体らしき流れがやってきた。背中にのゼッケンに「エキスパート」の文字が躍る人達が続々と駆け抜けていく。なんとか飛び乗る。スピードが戻ってきた。
特急列車に乗ってゴールラインを超えると、いよいよラスト一周。先程の周回で先頭集団の人達はゴールしているので、もう特急は存在しない。回りを見ると、同じように特急列車を下ろされた人がいるようだ。すかさずトレインを組んで最終周を回る。見れば、トレインの中に同じクラスのゼッケンがちらほらと見える。よし、この人達には勝とうと思いペダルに力を込めた。幸いにして、最後の上りに差し掛かった時アタックをかけても足が攣らない。もうこのまま行くしかないと、踏みまくった。上りを抜け、下りを全開で飛ばし、最後のカーブを抜けた。
しかしついに限界が来て、最後の直線はヘロヘロで速度がでない。何人かには追い抜かされてしまった。だけどもうゼロだ。なんにも残っていない。僕はただクラスCのゼッケンが追い抜いていかないことを祈りながら、ペダルを回すしかなかった。結局ゴールラインを超えるまで紫色のゼッケンは私を追い越していくことはなく、僕はほっと一息をついた。
ただ、万が一、周回数が足りないということも考えられる。だからもう一周気合いを入れて走った。一周走ると、なんだか名残惜しくなって、またもう一周周ってしまった。もう時間は昼近い。気温はぐんぐん上昇し、絶好のサイクリング日和だ。100kmでやめるのはもったいない。サーキットを自転車で走れる機会なんてめったにないのだ。途中で一緒に来た方と話しながらコースを走ったりして、結局4周くらい長居してしまった。


  • レースが終わって


いしこうさんに撮って頂きました。あざーっす!

コースから出ると、ドキドキしながら速報を見に行く。
僕の名前は・・・あった!
なんと5位だ。この大会は6位まで表彰だから入賞している!表彰?いったいいつ以来ぶりだろう。小学生の時、夏休みの自由研究で銅賞をとって以来だろうか。ドキドキしながら表彰台のはしっこに立ち、賞状と賞品の米2kgを受け取った。
すげー、なんでこんなところに居るんだ、自分。
横を見ると、1,2,3位が乗るあの凸型の段があって、僕より速い人達が誇らしげに顔を輝かせていた。速報を見るに、トップの人は僕より8分近く速い。たぶんラップされている。ということは最後まで先頭集団についていったのではないだろうか。
すごい、本当にすごい。アクシデント等ではなく、実力であがいてその結果付いて行けなかったから本当にそのすごさがわかる。同じ人間じゃないとも思う。足が攣っているようじゃ勝負になるわけがない。だけど、やはりくやしい

もっと鍛えて、来年こそ先頭集団についていこう。


表彰台のはしっこから、もっと高いところにある顔を見上げつつ、そう思った。


レースの記録(速報)
タイム:2h34m12s(+7m40s from top)
平均時速:39.21km/h





来年へのメモ
・ドリンクはロングボトル一本で十分
・補給食は、念のため400kcalくらい持つべし。



1月の記録:239.5km