ヒルクライマー

自転車にはまったSF作家 高千穂さんが書いた自転車小説。どんなもんだと思って読んでみました。自転車乗れなくてひまだし。


ヒルクライマー
見た目厚いですが、半日もあればさくっと読めます。


てっきりテルのようシャカリキに坂を登る話かと思いきや、いや、そうではあるんですけれど、それが主題というわけでもなく。
45歳にしてヒルクライマーの頂点に立ったお父さん(!)を中心に、そのために払った犠牲、葛藤、そして救済を描いた物語、というように感じました。まあ、私自身がこのお父さんと同じように娘を持つ、父だからかもしれません。


自転車って湯水のように時間を使いますよね。強くなろうと思ったら尚更です。そしてさらに恐ろしいことに時間を注ぎ込むことが全く苦じゃないんです。


学生時代はずーっと体育会系の部には属していましたが、そんな風に感じたことは一度もありませんでした。あるのは常にこの地獄のような練習が早く終われという思いのみ。私にとっては自転車のみが唯一ずっと運動していたいと感じさせるものです。


脱線を続けます。だいたい私の家から実家まで300km程度。高速を使って5時間程度かかるのですが、出かける時には
「ふー、ヤレヤレ。5時間も運転か・・・」
と気が滅入ります。
ところがこの距離を自転車で走るとなると、ほぼまる1日かかってしまうのに
「やった!300kmも走れる!!」
となります。
自転車に乗らない人から見たら宇宙人でしょうが、乗る人なら頷いてもらえる話じゃないでしょうか。


さて脱線が長くなりましたが、そんないつまでも長くずーっと乗っていたい自転車。でも市井の一ローディとしては、プロじゃあるまいし、自転車だけに乗って生活できるわけでもなく、金を稼ぐために仕事もしなければならないし、休みともなればかわいい妻と子供のために家族サービスに精を出さねばならないわけです。
が、このお父さんは仕事こそもちろんするものの、それ以外の全ての時間を自転車につぎ込んでしまった。寸暇を惜しんでペダルを回す。時間を割くということは、心を割くということ。家庭に向けるべき心すら全て自転車に向けた先にあるものは・・・。


自転車blog界には、ここにリンクを貼るまでもなくご存知のとおり、その名を轟かせる強豪お父さん(お母さん)ローディが沢山います。みんなどうしてるんでしょうか。どうやって乗り越えたんでしょうか。もしくは今も乗り越えようと苦しんでいるんでしょうか。


ぶっちゃけると、私自身もっと自転車に乗る時間がほしいと感じています。もっともっと乗りたい。休日は朝から晩まで走りたいし、あっちの峠にもこっちの山にも行ってみたいし、レースも沢山でたい。でも子供が小さい今のうちはぐっと我慢。子供が大きくなって小学生くらいになったら・・・と思っていましたが、このお父さんの娘は16歳。それでも駄目。てことは、小学生ではまだ当然ながら駄目みたいです。遠すぎるよ・・・。


ひょっとして家庭を持つローディなら誰もが抱える問題なのかもしれません。そんな微妙な、でも重大な問題にスポットをあてたこの本を全国のお父さんローディーに読んでほしいと思います。今ならまだ手遅れにならないかも!?




自転車部門で12位

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それにしても自転車に乗れないと時間が随分あまります。。。
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