2012 もてぎ 100km サイクルマラソン その2

ひたすら集団の層が厚くなっているあたりをヒラヒラし続ける自分。
もうちょい前に行ければいいのだが、ヘタにポジションをあげたあげく、先頭が回ってきてしまうと一発で足が終わりかねない。ただひたすらに自重すべし。足が無いと選択肢も無い。
しんどいのは毎週の登りだけで、後はほんと惰性だ。登りきると、このラップも生き残った〜、と安堵する。本当はここで如何に集団を小さくするか知恵と足を絞らないと駄目なんだろう。
先頭集団はパワー使っているように見えるけど、絶対単独走や小さいトレインの先頭引っ張る方が疲れるし、頑張ってる。


暑さと戦いながら走っていたためか、既にボトルの水が心元無くなっている。去年は500ml一本で多すぎるくらいだったのにな。最後まで持つかもしれないけど、これは精神衛生上良くない。来年も気温が高く、そして肉襦袢を脱げそうになかったら、ダブルボトルにするか。


気がつくと、前の方が随分さみしい感じになっている。
意識して位置をあげた訳でもないので、ひょっとして有力選手達が発射されてしまったのだろうか。
焦ってまわりを見回すと、重鎮 @Roppongi_expressさんが、悠然と集団に残っておられた。なら大丈夫だ、とほっと胸を撫で下ろす。


いよいよレースは終盤に差し掛かる。
ここまで来ると、本当にできる事はなにも無い。今更なにをやっても足を消耗するだけだ。
それはわかっていたのだが、ふと登りの終わりで逃げが出来ているのを見つけてしまった。見つけた以上は追わねばならない。こんな終盤からでは逃げられる確率は相当低いが、それでも僕がスプリントで勝つ可能性よりはマシだろう。


必死に追って、最後尾にドッキング。やがて先頭の順番が回ってくる。逃げねば単なる無駄足になってしまうので、できる限り踏もうとする。緩い下りだったので引き継いだ時に速度は50km/hをちょい超えたくらいだったか。切れては元も子も無いので、できるだけ同じ速度を維持しつつ、頑張って踏む。当然長くは踏んでいられないので、胸の内で5秒カウントして、先頭交代を促す。が、気配がない。
まさか・・・と思いながら振り返ると、なぜか独り逃げな形になっている。
なぜだ。昨年の悪夢がフラッシュバックする。そんなに僕は先頭交代がヘタなのか。去年に引き続き今年までも。
やるせないものを抱えたままペダルを止め、集団に飲み込まれるにまかせる。


あとはスプリント勝負しかないなぁ、でもこのツリかけた足じゃ無理だよなぁ、とおぼろげに考える。そうこうする内に集団は最終ラップに入った。
登りは最後まで緩い感じ。登り終わったあたりから徐々に速度があがる。位置とりが激しくなる。


一瞬、前走者の加減速に僕が対応しきれず前輪がハスってしまう。


あっ、と思った。このまま路面とキスか。
ハスった時の練習なんてしていない。ただ、こういう時は逃げてはいけない、とどこかで見た記憶だけを頼りに、ハンドルを逆に切る事だけはしなかった。
その対処が良かったのかはわからない。単にスピードが出ていて安定性が増していたのかもしれない。とにかく僕は落車を免れた。
どうも僕の挙動が派手に怪しかったらしく、まわりから落車しなくてよかったと声をかけられる。いやほんとよかった。そしてご迷惑をおかけしてすみませんでした。


落車は、僕の場合、いや僕の場合じゃなくてもサラリーマンレーサーならレースからの引退と同義になりかねない。家族に反対されてはレースに出られないからだ。
本当になにもなくて良かった。


集団はいよいよ最終コーナーを回ってスプリント体制へと移行する。空気が殺気立ってきているのが分かる。周回路とゴールレーンを隔てる三角のコーンがいくつか跳ね飛ばされて宙を舞った。集団がデカすぎるのだろう。まだ右手前方で同クラスのゼッケンが見える。ギリギリ届くか・・・いや届かない・・スプリントの真似事はしてみたが、僕の体重で最大千ワットでは全然足りない。
今年は表彰台登れないな、と朧げに考えながら、レースの終わりであり、同時に2012年の始まりを告げるゴールラインを越えた。


ゴール後、2位だと言っていた同クラスの方と色々しゃべりながら2周ほどクールダウンした。くやしい、と言っていたが、実はこの方が1位だった。きっと喜びもひとしおだろう。
僕は、というと思ったより悔しさはなかった。
ただこれじゃ無理だわ、という実感だけがあった。もともとスプリントは苦手だと思っていたけど、今日あらためてまったく才能がないことを思い知らされた。
スプリント勝負になった時点で僕に勝ちの目は無かった。
このコースで僕が勝つためには、中盤から積極的に動かなくてはならない。みながつらいと思うところでもっと踏んで、集団を振るいにかけなければならない。もちろん、エキスパートの猛者にはそんなのは通用しないだろうが、僕が競う年代別カテゴリなら、多少は減らせるかもしれない。
来年は、登り毎に積極的に前に出るようにしよう。ヘアピンの立ち上がりもだ。
僕の足も持つ保証はないけれど、なにもせずスプリントに持ち込まれるよりは、まだ勝てる可能性がある。


来年は四十代のカテゴリに移る。一番選手層が厚い年代だ。はっきり言って三十代より手強いだろう。
今年果たせなかった目標を来年こそ。


正月三日目に既に来年に思いをはせるなんていう、鬼も笑うどころか呆れそうな抱負を抱きながら、僕は表彰台の下から一番上を見上げていた。

                                          1. +


んまー、そんなわけで見果てぬ夢、表彰台の一番上は、また来年まで持ち越しです。
そんな妄想厨な自分にメモ。

・体重は70kg以下に抑える。目標体脂肪12%
・登りと登り終わった後ヘアピンの立ち上がりで集団を牽けるようになる。逃げるではなく。
・ゴールスプリントはエキスパートクラスの独壇場なので勝てるとか妄想しない。とにかくそれまでに前にあがっとく。





79.8kg 20.2%
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痩せていた頃の自分を思い出せない。
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